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2025/03/18 (Tue)
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2010/02/15 (Mon)
自分の創作短編をHDDの底から発掘しました  ちょっと面白い(自画自賛)
時々思いついてはこういうの書き溜めてます。
こういう奇妙なのが大好き
やや文体が旧めなのは趣味です(内田百閒先生とか夏目漱石先生が好き)
漫画だと「。」とか「、」をほとんど使わないので句読点は苦手です
語尾が同じになってくどくなるのは文章構成力がないからです です




『医者と患者の視点』2009/3/9
 
私は医者であった。
先ほどから一人の病人を相手している。
彼は私を見て青い顔をした。
私が取り出した医療器具の鋭利な先端を見て更に顔を青くした。
彼は治療を恐れて中々腕を差し出さない。
もどかしさと、後ろの家族の視線に若干の焦りを覚えて乱暴に説き伏せようとした。
私は自分の治療に自信があったし、その治療を行うことによって確実に患者の容態は改善し、
                                後には感謝されるだろうと信じて疑わなかった。
そのような己の自信と少しの高慢さが説き伏せる語気を強くした。
治療を拒否する患者の気持ちが到底知れなかった。
患者は暴れ私の腕を振り払おうと腕を大きく振ると、同時に私の視界がぐるりと回転した。
 
私は患者だった。
先ほどまで私の患者であり治療を拒んでいた病人であったその人は、一人の医者であった。
彼は鈍く光る凶器を手に「治療を行います」と言った。
私はその凶器が私の頭に予想させる痛みに慄いた。
治療の主旨と方法を聞かせてくれと言うと、
医者は治療は必要なものでわざわざ説明するほどのことではないと言いきった。
医者は私がいやだいやだと駄々をこねる赤子の様に振舞うのに辟易した様子で
「説き伏せる」というよりもっと荒っぽい方法で治療を行おうとした。

私はさながら拷問にかけられる囚人のような面持で、
     逃げ出したい衝動に駆られ部屋の出口を見たが、そこは家族によって抑えられていた。
(尤もその家族というのは私のではなく、
            さっきまで確かに病人であった目の前で怒鳴る医者の家族であるのだが)
逃げ道を探しさまよう視線を余所に
医者は私の腕をしっかと掴んで結局説明もなく凶器を柔らかい部分に突き立てた。
 
私は叫んだが、彼は治療だと言った 
私は確かに治療だと思っていたものを同じようにしてやられたのであるが
私はそれを治療というより一種の拷問だと思った。
 
 

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